安定性と利率を兼ね備えた合理的な運用戦略

第8章 安定性と利率を兼ね備えた合理的なFX運用戦略

相場の法則を踏まえた運用戦略

本章では、いよいよ複利を前提としたローリスク・ハイリターンの具体的な運用戦略をお伝えします。

ここで改めて、安定性を高めるための運用戦略を振り返っておきます。

「連動性を踏まえて並べた通貨ペアと時間足のマトリックス上に、順張りと逆張りの適切なヘッジ関係を保持して、できるだけ全体に散らばるようにトレード対象を選択すること」

私が好んで用いる2段差の時間足をヘッジの対象とすれば、相場の法則に適合する選択方法は、実は1つのパターンしかありません。下表において太線に囲まれたセルが、それにあたります。

3つの順張りと3つの逆張りが選択されており、そのいずれもが、同じ通貨ペアにおいて2段差のヘッジ関係を成立させています。また、順張りと逆張りのいずれも、通貨ペアと時間足の両方において分散化が図られています。そして、これらの選択は、相場の法則を記した表に基づいています。

選択されたトレードを文章として表すと、次のようになります。

メジャー通貨同士のペアを1時間足に基づき順張りするトレード
メジャー通貨同士のペアを5分足に基づき逆張りするトレード
メジャー通貨&マイナー通貨ペアを4時間足に基づき順張りするトレード
メジャー通貨&マイナー通貨ペアを15分足に基づき逆張りするトレード
マイナー通貨同士のペアを日足に基づき順張りするトレード
マイナー通貨同士のペアを1時間足に基づき逆張りするトレード

これが、複利を前提としたローリスク・ハイリターンの運用戦略、すなわち「セルフヘッジファンド戦略」になります。

ヘッジ効果を弱めた運用戦略

上記の運用戦略は、同じ通貨ペアを対象に2段差の時間足でヘッジトレードを行う、安定性を重視した戦略になります。ヘッジトレードは、安定性を人為的に制御するものなので、その対象を変えることができます。

そのひとつは、同じ時間足において異なる通貨ペアでヘッジトレードを行う方法です。具体的には、下表のようになります。

選択されたトレードを文章として表すと、次のようになります。

メジャー通貨同士のペアを1時間足に基づき順張りするトレード
マイナー通貨同士のペアを1時間足に基づき逆張りするトレード

異なる通貨ペアに対するヘッジトレードなので、強いヘッジ効果は期待できませんが、時間足が同じ為、地政学的な連動性が明確に表れると考えられます。従って、先の戦略を「安定性重視の運用戦略」とすれば、この戦略は「バランス型の運用戦略」と言えます。

更に、ヘッジ効果を弱めた戦略も考えられます。それは、下表のように通貨ペアと時間足の両方が異なる組み合わせでヘッジトレードを行う戦略です。

選択されたトレードを文章として表すと、次のようになります。

メジャー通貨同士のペアを4時間足に基づき順張りするトレード
マイナー通貨同士のペアを15分足に基づき逆張りするトレード

ヘッジ効果は極めて弱いですが、順張りと逆張りの優位性がどちらも高い組み合わせになる為、「収益性重視の運用戦略」に位置付けられます。

なお、この戦略では4時間足と15分足を組み合わせており、日足と5分足を使っていないのには理由があります。

日足については、1回あたりの損益が大きく、かつトレードの回数が少ない為、大きな損失が出る可能性と、その回復に長い時間を要するので、安定運用に不向きだからです。一方、5分足に基づくトレードは、トレードあたりの利益が小さい為、トレードに掛かるコストに負けてしまうからです。

安定重視の運用戦略で日足と5分足を使っていることと矛盾しているように思われるかもしれませんが、安定重視の戦略では、これらの時間足を利用したトレードは、トレード全体の一部に過ぎません。また、安定重視の戦略では、これらの時間足を用いる通貨ペアが、時間足の欠点を緩和するものであります。つまり、日足と組み合わせるマイナー通貨同士のペアは値動きの幅が比較的小さく、5分足と組み合わせるメジャー通貨同士のペアはトレードコストが相対的に小さい、ということです。

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