セルフヘッジファンド運用を始めるには

第9章 セルフヘッジファンド運用を始めるには

本章の内容

セルフヘッジファンドのまとめ

8つの章にわたり、システムトレードの運用戦略「セルフヘッジファンド」について紹介してきました。以下に、各章の要点を箇条書きします。

● 投資を経営として行うシステムトレードは、不労所得を得るのに適しており、事業モデルとしても優れている(第1章)

● トレードはランダムではない値動きを利益に変えるものであり、その値動きを客観的に見出すのがデータ分析の役割である(第2章)

● システムトレードで利益を出すにはセルフでやるのが必須であり、少なくとも運用戦略とトレードルールは、自らが理解して採否を判断する姿勢が大切である(第3章)

● 複利を活用したローリスク・ハイリターンが運用戦略の目指すところであり、それにはまず安定性を確保し、その上で期待される利率を高めるのが合理的である(第4章)

● 順張りと逆張りのヘッジトレードが安定性を高めるのに有効であり、同じ通貨ペアの異なる時間足に対して適用することで、ヘッジの強弱を容易に制御できる(第5章)

● 安定性を高めるもう一つの手段である分散は、連動性を考慮して並べた通貨ペアと時間足のマトリックス上に、できるだけ全体に散らばるようにトレード対象を選択することである(第6章)

● 通貨ペアと時間足を俯瞰することで見えてくる相場の法則があり、運用戦略が利率の観点からも合理的である為には、この相場の法則に従わなければならない(第7章)

● 利率と安定性を両立させた合理的な運用戦略は一義的に定まり、その上でヘッジを緩めた戦略として2種類が考えられる(第8章)

このセルフヘッジファンドは、システムトレードを行う際の基本となる運用戦略だと考えます。実際、私は複数の戦略に基づきシステムトレードを運用していますが、それらはいずれもセルフヘッジファンド戦略と組み合わせたものです。

3つの運用戦略の使い方

第8章でお話しした3つの運用戦略は、ヘッジのレベルを変えただけであり、優劣を論じられるものではありません。違いは、収益性と安定性の比重だけです。

どの運用戦略を選ぶかは、実際に使うトレードプログラムの性能に依ります。

もし、トレードプログラム(トレードルール)の優位性が高ければ、個々のトレードを平均すると高い収益性が期待できる為、安定性重視の運用戦略により、複利効果を高めるのが有効に思われます。

逆に、優位性の低いトレードプログラムしか使えないのであれば、安定性重視の戦略は好ましくありません。収益性を重視した運用戦略により、安定化は最低限に留めるべきと考えられます。

トレードルールの優位性に確信がもてない場合は、バランス型の運用戦略からスタートし、実際の収益性と安定性を確認してから、運用戦略の変更を検討するのが良いかもしれません。

セルフヘッジファンド運用に必要なトレードプログラム

セルフヘッジファンド運用には、2種類のトレードプログラムが必要になります。順張りタイプと逆張りタイプです。もちろん、両者のトレードルールをひとつに纏めたプログラムでも問題ありません。

既にこれらのプログラムをお持ちであれば、所定の通貨ペアと時間足をプログラムにセットするだけで、セルフヘッジファンドの運用を始められます。また、トレードプログラムをお持ちでない場合は、プログラムを購入あるいは自作すれば、後は同様です。

なお、誤解のないように申し上げますと、セルフヘッジファンド戦略で運用すれば、合理性のないトレードプログラムでも利益を出せる、ということではありません。優れた軍師と訓練された兵士が揃うことで戦に勝利できるのと同じで、優れた戦略と合理性のあるトレードプログラムが揃わなければ、安定した利益は得られません。

例えば、第5章および第7章に用いたトレードルール(終値とSMAの関係に基づくルール)を実装したプログラムは、合理的と言えません。なぜなら、トレードコストが利益を上回るからです。また、見掛けの成績が抜群に良いプログラムは、過去データへの過剰適合が疑われる為、やはり合理性があるとは言えません。この手のプログラムは、どこかのタイミングで、セルフヘッジファンド戦略による安定化の効果を上回る過大な損失を被ることになります。

すなわち、合理性のあるトレードプログラムとは、ランダムではない値動きを適切に利益に変え、その利益がトレードコストを上回るルールを実装したプログラムだと言えます。

セルフヘッジファンド運用を始める為のサポート

おそらく、本業が忙しい方は、トレードプログラムを自作することは元より、合理性のあるトレードプログラムを探したり検証したりする時間も余力も無いと思います。

私自身も、会社を辞めるまでは、システムトレードに本格的に取り組むことができませんでした。それ故、楽に始められるクラウドサービスに安易に手を出してしまい、大切な資金を目減りさせた経験があります。

「一旦稼働させれば、後はほとんど作業の要らないシステムトレードは、本業の忙しい自分に最適だけど、時間がないので最初のハードルを越えられない」

「トレードルールを検討できるほどのスキルや経験が足りないので、稼働させるまでにどれだけの時間を要するか見通せない」

「トレードルールを検討しているけど、様々な通貨ペアに通用するトレードルールを見出せない」

人により状況は様々だと思いますが、セルフヘッジファンド運用は最初のハードルを如何にして乗り越えるかがすべて、と言っても過言ではないと思います。

ですので、セルフヘッジファンド運用を始めたい方が最初のハードルを乗り越えられるよう、私が営む事業所(アルゴレッジ)では、「セルフヘッジファンド運用に適したトレードルールの検討」と題したデータ分析レポートを、有償にて提供しています。データ分析のレポートなので、そこに提示されている具体的なトレードルールの良し悪しを、客観的にご判断頂けると思います。

また、最初のハードルを確実に乗り越えられるよう、データ分析レポートに付随する形で、プログラムの受託開発サービス稼働環境の構築代行サービスも合わせて提供しています。

おわりに

ご紹介したセルフヘッジファンドは、個人資産をシステムトレードで運用するにあたり、私なりに真面目に考えた運用戦略のひとつです。

率直なところを申し上げれば、ブログで紹介することにより、様々なご批評を受けることは私の望むところではありません。しかしながら、それと引き換えに、理に適った戦略でシステムトレード運用を始める方が増え、そこから得られる不労所得により、将来のライフプランに新たな希望を見出される方が出てくれば、それに越したことはありません。また、それらの方の中から、より優れた運用戦略が生み出され、私の個人資産の運用に還元されることになれば、なお嬉しいところであります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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